生活習慣病

生活習慣病とは

生活習慣病とは食事や運動、喫煙といった普段の生活がきっかけで起こる病気のことです。つまり普段の生活習慣を改善すれば防げる病気のことで、具体的には高血圧、糖尿病、脂質異常症(高コレステロール血症)、脳卒中、心筋梗塞、がんなどが含まれます。平成28年度の日本の死亡原因の上位5つのうちの3つは生活習慣病(がん、心疾患、脳卒中)で、この3つだけでも全体の死亡の50%以上を占めています。このことから生活習慣病を予防することは長生きのために非常に重要なことだとわかります。ここでは上位を占める死亡原因となる生活習慣病別に、取り組むべきことに触れます。

1位:がん 生活習慣の改善でがんは防げるの?

がんは男性の死亡原因の33%、女性の24%を占めます。それではがんは生活習慣で防げるのでしょうか?確かに100%生活習慣で防げるわけではありませんが、海外の研究によると生活習慣の改善で白人男性の40%、女性の60%のがんを防いでくれると報告しています。実際にアメリカでの生活習慣の改善の取り組みを日本人にすることでどれだけがんを予防することができるかはまだ研究されていません。しかし全く効果がないとは考えにくく、ある程度の効果が期待できます。アメリカの研究で実際に行われた生活習慣は禁煙(1日のタバコの箱数×喫煙年数≦5まで)、禁酒もしくは節酒(男性ではビール1日2杯まで、女性は1杯まで)、適切な体重(BMIが18.5〜27.5)、運動(週に150分の中強度の有酸素運動または75分の活発な有酸素運動)といった取り組みでした。タバコは大腸がん、子宮頸がん、肝臓がん、胃がん、膵臓がんなど10種類以上のがんにかかりやすくなるとされます。お酒とがんについても関連性は証明されており、毎日50g以上のアルコールをとると、口腔がん、咽頭がん、食道がんなどになりやすくなるとされます。50gのアルコールはおおよそビール500mlで2.5杯、日本酒では2合、グラスワイン1.5杯程度となります。また肥満もがんのリスクになるとされ、乳がん、大腸がん、子宮体がん、食道がん、腎がん、膵臓がんになりやすくなります。その他運動習慣をつけることで腸のがんや乳がんになりにくくなるといわれています。その他皮膚がんを予防するために日光に注意が必要です。手足を衣類で覆い、つばの広い帽子やサングラスを使用して顔にも光を浴びないようにしましょう。また日焼け止め(SPF15以上のもの)を使用しましょう。また夏場で泳いだあと、汗をかいたあと、タオルを使ったあとなどは日焼け止めを塗り直すことを忘れないようにしましょう。

2位:心疾患 生活習慣の改善で心筋梗塞を防げるの?

心疾患は様々な病気がありますが、ここでは特に生活習慣との関連が強い心筋梗塞について述べます。心筋梗塞を予防するために取り組むべきことは食事、運動、禁煙、節酒、ダイエットです。食事については高血圧や脂質異常症、糖尿病の食生活改善点(日常生活でできることコレステロールを下げるためには糖尿病予防・進行を防ぐための食事・運動とは)と同じです。要約すると食物繊維の豊富な果物(干し柿、くり、あんずなど)や野菜(切り干し大根、ごぼう、パセリやグリンピースなど)をたくさん食べ、単糖類や二糖類(はちみつ、さとう、水飴などの入った食べ物)や塩分を避けるようにする、ということです。果物は種類によっては糖分が多く糖質の過剰摂取につながるので注意が必要です。運動については150分/週の中強度の有酸素運動または75分/週の活発な有酸素運動、また筋力をつける負荷のある運動も週に1、2回するとより良いとされます。そして心筋梗塞予防に最も大事といっても過言ではないのが禁煙です。喫煙をしている人は10年間で喫煙をしていない人より倍近く心筋梗塞による死亡が多いとされます。お酒については様々な意見がありますが、男性ではビール1日2杯、女性では1日1杯までが良い、とされています。実際にお酒が何杯まで大丈夫か証明されている研究はあまり多くはありません。しかし飲酒量が増えると心臓に悪影響があることは証明されています。ダイエットについては適切な体重が望ましく、太りすぎても痩せすぎても心臓に有害となります。適切な体重とはBMI 20〜25の範囲といわれています。

3位:脳卒中 脳卒中にならないようにするには?

脳卒中は脳の血管が詰まったり(脳梗塞)、血管が破れたり(脳出血)することです。脳の血管も心筋梗塞と同じように動脈硬化が原因となりますので健診で高血圧や脂質異常症、糖尿病の疑いなどを指摘された時には必ず病院で定期的に検査を受ける必要があります。その上で高血圧や糖尿病など治療をしっかりと受けるようにしましょう。その他元々持病で心臓の病気、不整脈や心筋梗塞をすでに起こしたことがある場合にもきちんと治療を受けるようにしましょう。その他に喫煙は脳梗塞でも他の原因に比べてリスクが高いため、しっかりと禁煙する必要があります。食生活については高血圧、脂質異常症、糖尿病(日常生活でできることコレステロールを下げるためには糖尿病予防・進行を防ぐための食事・運動とは)と同じで、過剰な脂肪や塩分を取らないようにし、適切なカロリーにすることを心がけましょう。飲酒についても心筋梗塞の予防と同様で節酒が必要です。体重も標準体重になるようにダイエットをして定期的な運動が必要となります。運動は週に3、4回、1回につき少なくとも20〜30分の運動がおすすめです。またストレスで血圧が上がることからストレスを避けるようにすることも必要とされます。

生活習慣病の改善に取り組むのは大変です。最初はやる気を持って取り組んでも1年、10年と継続的に取り組むことは本当に根気が必要になります。しかし生活習慣を変えることでご本人がかかる病気が1つでも減らせることができるのは素晴らしいことだと思います。一人では難しくても定期的に当院で医師と相談しながら取り組んでみてはいかがでしょうか。

参考資料

厚生労働省ホームページ 平成28年人口動態統計
Preventable Incidence and Mortality of Carcinoma Associated with Lifestyle Factors Among White Adults in the United States.
Primary prevention of cardiovascular disease: A review of contemporary guidance and literature.
Stroke Prevention. Stanford Health Care.