インフルエンザ

インフルエンザとは

インフルエンザはインフルエンザウィルスが原因でおこる季節性の呼吸感染症のことです。季節性のインフルエンザはいくつかのタイプがありA型やB型などがあります。流行する季節ですが日本では冬です。毎年11月頃から流行し始め、1〜2月でピークとなり3月頃に減ってきます。ただし沖縄のような亜熱帯地域では年中インフルエンザにかかる可能性があります。

インフルエンザの症状は?

インフルエンザウィルスが体に感染してもすぐに症状は出ません。症状が出るまでは平均2日間(1〜4日間)かかります。インフルエンザの症状としては頭痛、発熱、だるさ、筋肉痛、咳、のどの痛み、鼻水があります。またB型のインフルエンザや子供の場合には嘔吐や下痢といった腸の症状を伴うことがあります。

インフルエンザは危険な病気なの?

インフルエンザにかかってもほとんどの人は特に合併症もなく治ります。しかしまれに肺炎や脳炎、心臓に炎症(心筋炎)を起こすことがあります。死亡に至るのは非常に稀ですが(10万人に0.15人の確率)、このような合併症を伴う場合には入院での治療が必要になります。特にこのような合併症が起こりやすいのはインフルエンザへの抵抗力が弱い方です。具体的には赤ちゃんやご高齢の方、妊婦の方や抗癌剤などを使用していて免疫力が弱っている方です。またインフルエンザがきっかけで元々の病気が悪化することもあります。肺の病気(喘息や肺気腫)、神経の病気(脳梗塞やてんかんなど)などをお持ちの場合は要注意です。このような病気をお持ちの場合には毎年インフルエンザの予防接種が必要です。またインフルエンザになった場合にも積極的に抗インフルエンザ薬を使用して治療する必要があります。

インフルエンザになると良くなるまでに時間がかかるの?

インフルエンザにかかると辛い症状が続きますよね。インフルエンザの熱やだるさなどの症状から回復するのはおおよそ5日間かかります。子供や高齢の方、慢性的な病気をお持ちの方では長引いて6〜10日間続くこともあります。

インフルエンザの検査は必要?

インフルエンザの検査方法としては鼻もしくは喉の粘液を綿棒で調べます。検査結果は10分ほどでわかります。しかしインフルエンザの検査は完璧な検査ではありません。インフルエンザウィルスが体内で増えてこないと検査でひっかけることが難しいのです。そのため症状が出てから24時間以内ではインフルエンザの方でも検査で陽性にならないことがあります。また症状が出てから72時間を過ぎるとインフルエンザウィルスの量が減ってくるため検査で引っかかってこなくなります。社会生活をしているとこの限られた時間に医院にくるのはなかなか難しいこともあります。ただ、全ての人にインフルエンザの検査が必要な訳ではありません。流行がピークになる1〜2月に38℃以上の発熱と咳があり、特にインフルエンザの人と数日以内に一緒にいて、診察で特長的な所見があった場合には検査をせずに医師の診察だけでインフルエンザと診断できることもあります。

インフルエンザの治療は?

インフルエンザの治療にはタミフルなどの抗インフルエンザ薬があります。抗インフルエンザ薬の効果は解熱までの期間を1〜1.5日程度短くする効果があります。そのため薬を飲んですぐ効く、というわけではありません。また体内にウィルスが多いタイミングでなければ効果的ではないため症状が出てから48時間以内の内服が薦められています。抗インフルエンザ薬を内服することで異常な行動が認められるとニュースになったことがありますが、その後の調査で抗インフルエンザ薬を飲んでいる、飲んでいないに関わらずインフルエンザにかかると異常な行動をすることがあると判明しました。薬の副作用としてはきけ、下痢などの腸の症状を認めることがあります。抗インフルエンザ薬の効果、副作用が出現する可能性などを考えて患者さんと相談して薬を使用するかどうか、どの薬にするかを判断します。また、子供の患者さんの場合にはアスピリンの解熱剤を使用するとライ症候群という脳の炎症を起こして重症になることがあり、注意が必要です。またボルタレンやポンタールという解熱剤もインフルエンザ脳症で悪くなることがあり飲むのを避ける必要があります。

人に感染させないためには?

インフルエンザは咳やくしゃみ、鼻水、会話などの唾液で広がります。学校保健安全法で「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過するまで(幼児の場合には3日)」は人にうつる可能性があるとされ学校へ出席できません。インフルエンザを広げないためにはやはり手洗い、うがいが重要です。その他にできるだけ毎年インフルエンザの予防接種を受けるようにしましょう。インフルエンザの予防接種は生後6ヶ月から受けることができます。その他インフルエンザにかかっている人が周囲にいる場合は予防で抗インフルエンザ薬を飲むこともできます(抗インフルエンザ薬の予防内服は自費となります)。特に周囲に小さなお子さんや妊婦の方がいる場合には積極的に予防内服をするようにしましょう。

 

インフルエンザのほとんどが軽症です。しかし実際にかかるととても辛いので寝込んでしまうことがあります。何かご心配な点があれば中島医院に相談だけでもいらしてください。 

参考資料

Influenza-Associated Pediatric Deaths in the United States, 2010-2016

日本小児科学会 学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説

CDCHP Seasonal Influenza