ワクチン・予防接種 

当院では杉並区と契約を行い、お子さんの予防接種を実施しています。定期予防接種、およびインフルエンザワクチンなどの任意予防接種を実施しています。ワクチンの入荷の関係で事前予約にて承っております。希望の方はこちらからごお電話にてご予約をお願いします。
荻窪にお住まいの方だけでなく、他区の方でもお住まいの区の問診票で予防接種を行なっていますのでご希望の方はお気軽にご相談ください。初めての予防接種の方やしばらく予防接種をされておらず何の予防接種が必要なのかわからなくなった方、些細な事でも遠慮せずご相談ください。真摯にお答えします。

 

予防接種を受ける時に必要なものはありますか?

保健証、乳児医療証、母子手帳、杉並区のワクチン問診票を記載の上お持ちください。

他区にお住いの方で荻窪に一時的にいらっしゃっている方も予防接種を当院で注射することができます。

予防接種当日の注意点は何かありますか?

37.5℃以上の発熱や風邪症状があった場合には注射を延期いたしますのでお電話にてご連絡ください。

またロタウィルスの予防接種を受けられる方はミルクを来院30分以上前に済ませてから来院ください。

予防接種の同時接種は大丈夫でしょうか?

当院では患者さんの負担を軽減するために予防接種の同時接種を行っています。ワクチンを1度接種した後には一定期間を空けなければ他のワクチンを注射することはできません。しかし複数のワクチンを同時に接種することについてはお互いのワクチンが影響したり、それによって副反応が増えたりすることはないと報告されています。
日本小児科学会は同時接種を推奨しており当院でもその考えに基づいて同時接種を推奨しています。ただ、ご心配な場合には1本ずつの注射をすることも可能ですのでワクチン接種のご予定など当院にお気軽にご相談ください。

予防接種を受けた後の注意点はありますか?

当日予防接種後しばらく副作用が認めないか当院で様子を見ますのでお時間に余裕を持っておいてください。また予防接種1時間は入浴を避けるようにお願いします。普段通りの生活をしていただいて構いませんが水泳など激しい運動は控えるようにしましょう。

予防接種をすればその病気にかからなくなりますか?

予防接種をした多くの人がその病気に対しての免疫ができます。しかし人によって免疫ができるかどうかは様々です。予防接種をしておけば、もし感染してもその病気の引き起こす合併症(肺炎など)が重症になることを防いでくれることがあり、予防接種を打つことをお勧めします。

定期予防接種と任意予防接種の違いは何ですか?

定期予防接種は予防接種法という法律で注射を市区町村が支払って打つ注射のことです。そのため患者さんは杉並区の問診票を持参いただければ無料で予防接種を打つことができます。任意予防接種は小児科学会が注射をすることを推奨するものの、患者様に料金を負担していただく必要のある予防接種です。任意予防接種は自己負担が発生しますが、注射を打つことをお勧めします。また予防接種によって重症な副反応が出た場合、健康被害が接種を受けたことによるものであると厚生労働大臣が認定した時には定期予防接種は国が負担してくれます。
任意予防接種の場合に重症な副反応が出た場合には独立行政法人医薬品医療機器総合機構法という法律で補償してくれますが、給付額が定期予防接種よりも少なくなります。ただ任意予防接種は注射をしてもしなくても良い、というものではありません。お子さんの感染症予防に重要な予防接種に変わりはなく必要な予防接種です。

定期予防接種ワクチン

ヒブ肺炎球菌B型肝炎4種混合BCG麻しん風しん水痘日本脳炎2種混合(DT)ヒトパピローマウィルス

任意予防接種ワクチン

ロタウィルスおたふくインフルエンザウィルス、3種混合ワクチン、ポリオワクチン

受けておくべき予防接種にはどんなものがありますか?

ヒブ(インフルエンザ菌)ワクチン

予防接種の必要性:インフルエンザ菌(ヒブ)は冬に流行するインフルエンザウィルスとは別のものです。ヒブに感染すると中耳炎や肺炎を起こすことがあります。また稀に髄膜炎という脳を包む皮に炎症を起こしおよそ5%の赤ちゃんが死亡、そうでなくても25%に後遺症を残す結果となっていました。しかしこのヒブワクチンを導入するようになって大幅にヒブによる感染症が減少しており、赤ちゃんのうちに注射すべき予防接種となっています。

予防接種の種類:定期予防接種

注射を受ける標準的な年齢:初回の予防接種開始は生後2ヶ月以上7ヶ月未満です。5歳になる前に注射を完了させる必要があります。

必要な接種回数:4回(初回の開始が7ヶ月を過ぎると回数が減ります)

注射と注射の間隔:1〜3回目はそれぞれの間を27日以上あけて注射します。4回目は3回目から7ヶ月以上あけて注射します。

 肺炎球菌ワクチン

予防接種の必要性:肺炎球菌とは名前の通り肺炎を起こす代表的な菌です。肺炎球菌に感染すると肺炎の他にも髄膜炎(脳を包む皮に炎症が起こり、死亡することもある病気)、菌血症(血液の中を細菌がかけ巡り死亡することもある病気)などを引き起こします。
特に生後6ヶ月から肺炎球菌にかかることが増え、かかると死亡したり、死亡しなくても後遺症を残すことが多かった感染症です。特にペニシリンという抗生物質が効きにくい肺炎球菌が多く非常に問題になっていました。しかし今では肺炎球菌ワクチンの登場により肺炎球菌そのものになることが少なくなってきており非常に重要な予防接種の1つです。

予防接種の種類:定期予防接種

標準年齢:初回の開始は生後2ヶ月以上7ヶ月未満です。5歳になる前に注射を完了させる必要があります。

接種回数:4回(初回の開始が7ヶ月を過ぎると回数が減ります)

接種間隔:1〜3回目はそれぞれの間を27日以上あけて注射します。4回目は3回目から60日以上あけて、且つ1歳以降に注射します。

 B型肝炎ワクチン

必要性:B型肝炎はB型肝炎ウィルスというウィルスが感染することによりおこる肝臓の病気です。普通は感染することはありませんが、傷などがあればウィルスに汚染された血液を触れて感染することがあります。感染すると肝炎という病気を起こし、だるさや目が黄色くなることがあります。症状が出ない方でもウィルスを体内に持ったままになることがあり、その場合には肝臓癌などのリスクになります。

種類:定期予防接種

標準年齢:生後2ヶ月以上9ヶ月未満の間に完了させます。

接種回数:3回

接種間隔:2回目は1回目から27日以上あけます。3回目は1回目から20週以上あけて注射します。

 ロタウィルスワクチン(ロタテック®)

必要性:ロタウィルスは腸炎を起こす感染症です。赤ちゃんに感染すると重症になることがあり脱水を伴ったり稀に脳に炎症を起こしたりすることがあり、ひどい時には入院することもあります。ロタウィルスのワクチンは2種類あり、ロタテック®(1価ワクチン)、ロタリックス®(5価ワクチン)があります。どちらのワクチンでも重症化を予防できる効果は差がありませんのでどちらで予防接種をしていただいても構いません。
ロタテック®は3回、ロタリックス®は2回予防接種が必要です。杉並区は一部補助を受けられます。補助がある場合にロタテックは自費4,000円、ロタリックスは7,000円となります。

種類:任意予防接種

ロタテック®

標準年齢:初回は生後14週6日までが望ましいとされています。生後6週から32週までの間に接種を完了させます。

接種回数:3回

接種間隔:28日以上あけて内服します(注射ではなく飲むワクチンです)。

ロタリックス®

標準年齢:初回は生後14週6日までが望ましいとされています。生後6週から24週までの間に接種を完了させます。

接種回数:2回

接種間隔:28日以上開けて内服します(注射ではなく飲むワクチンです)。

 4種混合ワクチンDPT-IPV(ジフテリア、百日咳、破傷風、不活化ポリオ)

必要性:ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオウィルスの4つの感染症に対する予防接種となります。ジフテリアは現在日本ではほぼ発症することはありません。しかしジフテリアは海外でもまだ流行することがあり感染すると心臓麻痺や神経麻痺になり死亡する可能性が高い病気です。また百日咳は名前の通り100日咳が続くことがある感染症で、特に赤ちゃんがかかると重症化して肺炎になり死亡することもあります。破傷風は傷口から感染する感染症です。感染するとけいれんしたり神経麻痺が起こることがあります。かかると同様に死亡することが多いので予防接種が重要です。最後のポリオウィルスも神経に感染し手足が麻痺することがあります。
現在では日本でポリオの方はいらっしゃいませんが、毎年ポリオ流行地域からの海外旅行者が年間6万人いるためいつ感染してもおかしくありません。いずれも感染することで赤ちゃんで重症化する可能性があり、しっかりと予防接種を受けるようにしましょう。

種類:定期予防接種

標準年齢:1期初回は生後3ヶ月以上1歳未満、最後の注射を7歳6ヶ月までに注射を完了させる必要があります。

接種回数:4回(1期初回が3回、1期追加が1回)

接種間隔:1〜3回目はそれぞれ2056日あけて、1期追加は1期初回の3回目終了から6ヶ月以上あけて注射します。

※この4種混合ワクチンは海外では4回目、または5回目を小学校前に受けることが多いワクチンですが、日本ではほとんどの方が2歳までに終了します。これによって小学校に入る前には予防接種の効果が少なくなってしまい、小中学校で百日咳にかかる方がいらっしゃいます。
予防のためにはワクチンが一番ですのでできれば小学校入学前に3種混合ワクチンとポリオワクチンを追加で受けるようにしましょう(4種混合ワクチンは使用上の決まりで4回までしか打てず、小学校前の追加注射は3種混合ワクチン+ポリオワクチンを用います)。 

BCG

必要性:BCGは結核に感染するのを予防するに行います。結核は昔の病気ではなく日本は未だに中蔓延国(中程度結核が流行っている国という意味です)です。赤ちゃんの時に感染すると結核による髄膜炎(脳の皮に炎症が起こる病気)や粟粒結核という全身に結核が回る病気にかかる可能性があります。
後遺症を残したり重症化して死亡することもあります。BCGをしっかりと注射している子供の間は結核になりにくいと言われており、BCGのあとが残るのがご不安な方もいらっしゃると思いますがしっかりと予防接種をしましょう。

種類:定期予防接種

標準年齢:生後5ヶ月以上8ヶ月未満に行います。

接種回数:1回

 麻しん・風しん(MR)ワクチン

必要性:麻しん(はしか)は麻疹ウィルスによる感染症です。空気を介して感染するため非常に流行しやすい感染症です。症状としては高熱、発疹が認められます。多くは自然によくなりますが、合併症として肺炎や脳炎を起こし、死亡することもあります。
日本はすでに麻しんはWHOに麻疹排除状態であると伝えていましたが、2018年の流行があることから今後もいつ流行するかわかりません。風しんは風疹ウィルスによっておこる感染症です。発熱と同時に発疹を認め、体のリンパ節が腫れる病気です。風疹の合併症として脳炎や血小板減少(血液が出血して止まらなくなる病気)が起こることがあります。こちらも2018年の流行にあったように数シーズンおきに流行しており予防接種が重要になります。

種類:定期予防接種

標準年齢:1回目は1歳以上2歳未満、2回目は小学校入学前の1年間に行います。

接種回数:2回

 水痘ワクチン

必要性:水痘(水ぼうそう)は水痘帯状疱疹ウィルスによる感染症です。発熱と同時に水ぶくれの発疹が認められます。水痘は合併症として肺炎や脳炎を起こし、稀に死亡することもあります。また皮膚の水ぶくれから細菌の感染症を合併して顔などの皮膚に傷痕を残すこともあります。水痘は感染するとずっと体の神経に潜み、体調を崩した時に皮膚に帯状疱疹として現れ、つらい神経痛を引き起こします。

種類:定期予防接種

標準年齢:1歳以上3歳未満。1回目は1歳以上1歳3ヶ月未満です。

接種回数:2回

接種間隔:6〜12ヶ月あけて2回行います。

 おたふくワクチン

必要性:おたふくかぜは発熱と頬部がはれる病気です。ムンプスウィルスによる感染が原因です。多くは自然によくなりますが、10〜100人に1人が脳炎、1000人に1人が難聴になります。その他膵炎、精巣炎、卵巣炎などの合併症が起こる可能性があります。おたふくは3〜6歳のお子さんで感染することが多いため小さい時にしっかりと予防接種を受けるようにしましょう。
杉並区ではおたふくワクチンの1回目だけ一部補助が受けられます。1回目の予防接種では補助があれば自費1,000円、2回めは5,000円となります。全額出ないところを残念に思われるかもしれませんが、多くの地区ではおたふくは全額自費です。杉並区は素晴らしい取り組みをされています。

種類:任意予防接種

標準年齢:1回目は1歳早期、2回目は小学校入学前の1年間に行います。

接種回数:2回

 日本脳炎ワクチン

必要性:日本脳炎は蚊(コガタアカイエカ)がウィルスを運んで人に感染をうつす病気です。日本脳炎になる患者さんは年間10例程度ですが、感染すると発熱、意識障害、けいれんを起こし約30%が死亡、死亡しなくても後遺症を起こし動けなくなりベッド上での生活を余儀無くされることもあります。
感染すると治療する手立てがないため感染しないようにすることが重要です。西日本での感染が多いとされていましたが関東でも感染例があるため予防接種を受けるようにしましょう。

種類:定期予防接種

標準年齢:1期初回は3歳以上4歳未満、1期追加は4歳以上5歳未満。2期は9歳以上13歳未満

接種回数:1期初回を2回、1期追加を1回、2期を1回の計4回です。

接種間隔:1期初回は6日以上あけます。1期追加は1期初回の2回目終了後6ヶ月以上あけて1回です。2期は9歳以上13歳未満の間に接種します。

2種混合(DT)ワクチン 

必要性:DTワクチンは4種混合ワクチンの中のジフテリアと破傷風の追加ワクチンとなります。ジフテリアも破傷風も小さい時に4回予防接種を受けています。しかし予防接種を受けても次第に免疫力が低下していくため追加で予防接種をうつことで免疫を強化する必要があります。

種類:定期予防接種

標準年齢:11〜13歳未満

接種回数:1回

ヒトパピローマウイルス(HPV、子宮頸がんワクチン)

当院では令和2年2月に日本でも発売になった9価のワクチン(シルガード9)を扱っております。
自費でのワクチン接種の場合従来からある4価のワクチン(ガーダシル)か新しく発売になった9価のワクチン(シルガード9)か選択ができます。
ご予約の際にお伝えください。(値段も違います)
なお、現在杉並区の定期接種は4価のワクチンと決まっています。


必要性:ヒトパピローマウィルス(HPV)は子宮頸がんをひきおこす発癌性のあるウィルスです。子宮頸がんは20〜30代で増加しており、働き盛りのお母さんをがんで亡くしてしまうことから「マザーキラー」とも呼ばれています。HPVは性交渉をしたことがあればだれでも感染する可能性のあるウィルスです。多くの場合は特にがんを引き起さずに自然に治癒します。しかし時にウィルスが体内に残り、10年ほど潜伏した後に子宮頸がんを発症します。

種類:定期予防接種

標準年齢:小学校6年〜高校1年

接種回数:3回

接種間隔:1回目と2回目の間は1ヶ月以上あけて行います。2回目と3回目は3ヶ月以上あけて行います。

※現在杉並区では積極的予防接種の推奨はされていません。しかし、これは予防接種をしない方が良い、ということを伝えているのではありません。予防接種を受けるよう積極的な宣伝を控えるという意味にすぎません。産婦人科学会は推奨しており、日本のHPVワクチンの予防接種率の低さは海外では恥ずべきこと、など警告されている状況です。
副作用が問題になったことで有名なワクチンですが、日本や世界の研究で副作用が起こる確率よりも予防接種を受けることで子宮頸がんを予防できるメリットの方が大きいと立証されているワクチンです。注射について不安がある方は一度来院し、医師と相談されることをお薦めします。

 インフルエンザウィルス

必要性:インフルエンザウィルスは通常の風邪より症状が強く辛い病気です。肺炎や脳炎などの合併症を引き起こすと死亡することがあります。インフルエンザ予防接種を受けると40〜60%はインフルエンザにかからなくなります。また仮にかかったとしても合併症を起こしにくくなるため、予防接種を受けることをお薦めします。
杉並区子育て応援券を使える唯一のワクチンですのでご利用希望の場合には応援券を切らずにお持ちください(応援券を切って持参された場合には無効です)。

種類:任意予防接種

標準年齢:生後6ヶ月以上

接種回数:13歳未満は2回、13歳以上は1回か2回の予防接種を行います。

接種間隔:4週間あけます。

 

いかがでしょうか。予防接種はスケジュールが複雑で大変だと思います。荻窪にお住いの方で予防接種がご不安な方、何を注射したらいいのか、こういった場合は接種できるかなどはどうぞ中島医院で予防接種についてご遠慮なく相談いただければと思います。
またご自分で詳細を調べたい方は以下の参考資料から他のサイトにアクセスしてみてください。予防接種の予約はこちら

参考資料:

日本小児科学会の予防接種スケジュール

日本小児科学会の同時接種について

日本小児科学会作成のワクチンについてのパンフレット(わかりやすくおすすめです)