RSウィルス

RSウィルスとは

RSウィルスは喉や気管支など呼吸の通り道(気道)に感染するウィルスです。日本では冬の11月〜1月に流行することが多いウィルスです。年齢がいくつでも感染する可能性がありますが、感染した時の症状は赤ちゃんの時が最もひどくなります。

RSウィルスは普通の風邪のウィルスとは違うの?

RSウィルスは1歳未満のお子さんで肺炎や気管支炎の原因として最も多いウィルスです。特に6ヶ月未満でRSウィルスに感染すると入院する確率が20%、未熟児の赤ちゃんでは60%が入院する、と報告されています。その上赤ちゃんでRSウィルスに感染した場合にはまれに死亡することもあります。5歳以上の年齢でRSウィルスに感染して入院することもありますが、多くは元々免疫が弱い、神経疾患があるなどご病気をお持ちの方です。死亡することも赤ちゃんよりまれです。大人でもRSウィルスはかかる事はありますが赤ちゃんと異なり肺炎や気管支炎になる事はあまりなく、ほとんどがのど風邪と同じ症状です。

どういった子供がRSウィルスに感染した時に悪化しやすいの?

以下に当てはまる場合にはRSに感染した時に気管支炎や肺炎をおこしやすいので注意が必要です

  • 生後6ヶ月未満の赤ちゃん
  • 慢性的な肺の病気(気管支肺異形成症)
  • 早産で生まれた赤ちゃん(妊娠35週より前)
  • 生まれつき心臓病を持つ赤ちゃんやお子さん
  • タバコの煙を吸う環境にいる赤ちゃん
  • ダウン症の方
  • 免疫が弱い方(白血病など)
  • 喘息がひどい方
  • 心臓や肺の病気をお持ちの大人の方
  • 施設に入居されているご高齢の方
  • 体が不自由なご高齢の方

どんな症状があるの?

RSウィルスに感染してもすぐに症状は出ず、潜伏期間が4〜6日ほどあります。

赤ちゃんで感染した場合には咳や息苦しさを訴えることが多いのですが、まれに呼吸が一時的に止まることがありそのような場合には入院することがあります。赤ちゃん以降のお子さんや大人で感染すると風邪症状が出ることが多いです。具体的には咳、鼻かぜ、鼻汁、結膜炎などです。他の風邪ウィルスよりもRSは鼻や耳にくることが多いといわれています。

 どんな検査をするの?

RSウィルスは来院した時に行う綿棒で鼻を触って検査します。検査結果は10分ほどでわかります。ただ、日本の保険ではRSウィルスは全ての人に検査することができません。保険適用で検査ができるのは1歳未満のお子さん、入院中の方、シナジスという注射を打つ必要がある人だけです。それ以外の方でRSウィルスの検査を希望される場合には自費になります。

どんな治療をするの?

RSウィルスは対症療法が基本になります。症状に応じた薬を使いますが、気管支拡張薬やステロイド薬などはあまり有効ではないとされます。赤ちゃんで症状がひどい場合には入院して酸素投与や点滴を行う必要があります。

RSウィルスにかからないようにするにはどうしたらいいの?

RSは症状が出てから38日間が人にうつる可能性がもっとも高い期間です。症状が落ち着けば登校・登園はしていただいて大丈夫です。RSウィルスへの感染予防対策としては手洗いがもっとも重要です。赤ちゃんを触る前には石鹸を使って手を洗いましょう。手を20秒は洗うようにして手を拭くタオルも共用しないようにしましょう。その他口からうつる可能性もあるのでコップや食べ物を共有しないようにしましょう。もしご家族が自宅でタバコを吸っている場合にはタバコは辞めるようにしましょう。

またRSウィルスには感染予防のためのシナジスという薬があります。しかしシナジスは高価なお薬で使用できる方は限られています。医療保険でお薬が使用できるのは早産の方や気管支肺異形成症、生まれつき心臓疾患を持っている場合、免疫が弱い場合、ダウン症など重症になりやすいリスクがあるお子さんだけです。

 

RSウィルスは3歳までにほぼ全てのお子さんが感染するほどよくある感染症です。しかしお話したように重症になることもあり注意が必要です。荻窪にお住いでRSウィルスについて何か相談があればどうぞ中島医院でご相談ください。

参考資料

CDC Respiratory Syncytial Virus Infection (RSV)

Up To Date Respiratory syncytial virus infection: Clinical features and diagnosis